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2017年スローガン故きを温ねて新しきを知る呼び覚ませ!町田JCの魂を

一般社団法人町田青年会議所 2017年度 理事長所信

小林 祐士

はじめに

青年会議所とは何か。入会より今に至るまで自分自身に問うています。勿論、日本青年会議所という団体としての答えはあります。しかし、日々メンバ ーと議論を交わしていて感じますが、それぞれの中ではその答えは違うのではないでしょうか。私の答えは、「地域に根ざして暮らす我々は、社業だけやれば良いというのではなく、地域を通じた公への貢献をしなければならない。その貢献は、青年会議所を通じて実践し、その中で自分の限界に挑戦し限界点を高め、40歳という卒業を迎えた後、それぞれの地域に戻り、青年会議所で学んだリーダーシップを発揮し、明るい豊かな社会を創るための訓練の場である」と答えます。40歳で卒業となる町田青年会議所自体が、言わばリーダーシップを身に着けるための「師」であり、「型」を提供してくれます。40歳まではひたすらその「型」を学ぶところであり、町田青年会議所を卒業すると、今度はそこで身に付けたリーダーシップを元に、各々が考えるまちづくりへと歩みを進めて行く事になるのだと考えます。

この青年会議所という団体は、第2次世界大戦後、「新日本の再建は我々青年の仕事である」という志を掲げ、東京青年商工会議所(商工会議所法制定にともない青年会議所と改名)の設立を契機に全国各地に青年会議所が設立しました。その後、この町田の地においても1967年11月2日に町田青年会議所が設立され、本年は、設立から50年目を迎えます。町田青年会議所の設立趣意書に記されている、「我々は自己の修練に依る人間的向上と郷土を愛するが為の社会への奉仕等につき、これを実践する場を求めて町田青年会議所に所属しているはずです。この原点を忘れずに町田青年会議所運動の軸にしなければなりません。」という設立当初の志を忘れずに我々は今日まで歩みを進めて来ました。

様々な価値観が存在し、混沌とした昨今の状況においては、己の中に明確な価値観や理念を持たなければ周囲の考えや意見にすぐに流されてしまいます。また、何かを成し遂げると思い立った時、一人の力では物事を動かす事は極めて難しいですが、同じ志を持った者が数多く集まれば、困難と思われている物事も動かす力を備える事が出来ます。

2017年度の町田青年会議所は、設立時から連綿と受け継がれている設立の趣意を忘れずに、また先人達への感謝の思いを忘れずに、人生という限られた時間の一瞬一瞬を大切にし、運動を展開していきます。

設立50周年を迎えるに際して

組織の成長段階を表現する考えに「ライフサイクル」という考えがあります。そこでは、「導入期」、「成長期」、「成熟期」及び「衰退期」という段階があります。町田青年会議所は、どの段階に位置しているでしょうか。私は、「成熟期」に位置していると考えています。「成熟期」という時期は長くは続かず、必要なものは残しつつも革新的な手を打たなければ「衰退期」を迎えてしまいます。如何にして「成熟期」を「成長期」に戻すべきかを考えなければなりません。私は、その方法として2つ考えています。

1つ目は、町田青年会議所が所属する国際青年会議所のネットワークを活かした、海外の青年会議所との交流の強化です。町田青年会議所ではここ数年間に渡り、海外の青年会議所と交流関係を深めて来ている実績があります。この様に青年会議所にある4つの機会のうち、「国際の機会」が町田青年会議所にある中でさらに確固たる友好関係に深める事は、これまで友好JC・姉妹JCという関係を持たなかった町田青年会議所にとって革新的な変化になるでしょう。すなわち、この関係を通じて国際感覚と意識を身に付ける事が出来ると共に、国際的視野を広め、国際親善と友好を通じてそれぞれの地域社会の発展に貢献する事が出来ます。

我々は、「国際の機会」を待っているのではなく、自らその機会を掴みに行かなければなりません。

2つ目は、再び「成長期」を目指し、「町田に町田青年会議所あり」という気概を町田青年会議所の内外に発信して行く事です。この事は、町田青年会議所のブランドの向上にも繋がります。 20歳から40歳までの青年が、利他の精神で町田の未来を真剣に考える団体は他にあるでしょうか。また、町田を魅力的なまちにして行きたいと真剣に議論している団体があるでしょうか。「JCしか無いという時代から、JCも有る時代」と言われた時代になってから時は経ちますが、もう一度、青年会議所の特徴を全面に出し、町田青年会議所のブランディングを向上させて行かなければなりません。 その際、町田というまちに今何が不足しているか。それに対して町田青年会議所が対応できるものは何かをしっかりと考え、地域諸団体との連携を深め、独りよがりにならない様に運動を展開して行かなければなりません。例えば、2015年度の町田市市民意識調査によると文化芸術活動に触れる機会が無いという回答が、2012年度、2014年度及び2015年度のそれぞれで約7割以上を占めています。絵画や音楽をはじめ町田で文化・芸術活動に触れる機会は十分にあるでしょうか。町田青年会議所が地域の中でブランディングを向上させて行くためには、その特徴を全面に出し、地域に不足している機会を我々の手で創造し、広く市民の方々にその機会を提供し、地域を巻き込むという勢いが必要です。

設立から50年というこの節目の年に、町田青年会議所の存在をそして、その魅力を町田に広く浸透させていきます。

会員拡大は

数字というものは力を持っています。各々の青年会議所の「勢い」という抽象的な概念は、数字に置換える事で可視化されるのではないでしょうか。その際の指標として、会員数、会員増加数、会員増加率などがあります。町田青年会議所の「勢い」を可視化する為には、これらの指標を高めて行かなければなりません。

また、我々の運動を外部に広げていく為には、同じ志を持つものを多く集め、共に行動して行く事が必要です。町田青年会議所の会員数は、近年は減少傾向にあります。更に、40歳で青年会議所を卒業しなければならないというサイクルを繰り返す中、新たに会員を募らない事には町田青年会議所が消滅してしまう事に繋がります。会員数の減少を食い止めると共に、会員数を積極的に増強して行かなければなりません。

「数は力なり」という言葉がある様に、会員数の増加は、組織の「勢い」に反映されます。また、新たに仲間に加わってくれた会員に対するフォローをし っかりと行い、入会して終わりではなく、所属する委員会に出席し、各例会や事業に積極的に参加するように導いて行かなければなりません。この入会後のフォローまで含めて「拡大」という事になります。組織に「勢い」を付け、町田青年会議所の町田における存在感を高める為にも会員拡大を積極的に行います。

広報戦略について

「青年会議所とは何をしている団体なのか。名前は存じているが、活動内容はよく分からない」という声を耳にします。広報とは、各種団体等が事業内容や活動状況を一般の人に広く知らせ、理解を求める事であり、その点で広告と明確に異なります。広告を出せば青年会議所の活動内容が伝わる可能性があります。しかし、広く市民の方々に町田青年会議所に共感していただく為には、活動内容や理念に共感していただき、それをメディアに取り上げてもらう事、又はSNS等のツールを利用して絶えず情報を発信し共感を得る事、すなわち、広報の視点で町田青年会議所の情報を発信して行かなければなりません。

例え町田青年会議所が市民意識を変革する団体であるとしても、その情報が市民の方々に届かなければ何ら価値の無いものになってしまいます。その為にも、年間を通じた広報戦略の下に広報をして行く必要があります。

近年では新聞やテレビのみならず、SNS等をはじめ様々な広報ツールやコミュニケーションツールが存在します。また、ツールの変化のスピードも早く、いち早くその時々のニーズにあったツールを選択する必要があります。そして、これらのツールを如何に組み合わせれば効果的であるかを考えなければなりません。いつ、どのツールや媒体で、どの様な内容を、そして、どこをタ ーゲットに発信して行くべきかを常に意識して情報を発信して行かなければ、効果的な情報発信には繋がりません。それぞれの媒体の役割を活かし、複数のメディアを使い情報を発信して行く、いわゆるクロスメディア戦略が求められています。それが町田青年会議所のブランドを高めて行く事にも繋がります。

更に、情報は鮮度が命です。町田青年会議所の活動を随時発信して行く事が必要です。これにより、市民の方々が町田青年会議所の活動を知るきっかけとなり、広報を通じて地域とのコミュニケーションが生み出される様になります。これが広報の本質だと考えます。戦略を持って、町田青年会議所の魅力を多くの市民の方々に発信していきます。

地域から信頼される組織として継続するために

組織には、脚光を浴びて活躍する部署もあれば、目立たなくとも他の部署を支え、連携を取り組織運営を円滑に遂行する為の組織が必要です。理事会や総会等、法人として実施しなければならない会議を適法かつ円滑に運営する事が求められます。また、組織には会員からお預かりしている会費を適切に使用し、管理する事も求められます。これらを担保する為には、会員や外部の関係者に対する説明責任、いわゆるアカウンタビリティーが求められます。町田青年会議所は、単なる人の集まりである組合ではありません。一般社団法人という法人格を持つ団体です。法人格を持っているが故に、「法人」として活動を行う事が認められているのであります。

町田青年会議所が会員からだけではなく、地域から信頼される組織として在り続ける様に組織を運営していきます。

自然災害への備え

2016年4月に発生した熊本地震の被災地を訪問する機会がありました。そこでは、手付かずとなっている全壊した家屋、地震による観光業への影響等、テレビや新聞では表現できない本当の被災地の復興状況を目の当たりにし、胸が詰まる思いでした。また、そこで活躍する同志の活動も学ぶ事が出来、更には課題も多く教えていただく事が出来ました。首都直下地震発生の可能性が高まる中、我々はどのような備えが出来ているでしょうか。そこには「減災」という視点も必要です。ある書籍に、防衛大学校で避難訓練が行われ、そこでのエピソードが披露されておりました。小隊学生長が電話不通による伝令の為、連絡事項を正確かつ迅速に伝える役目があり、それを実践する事になりました。広い校庭を汗だくになり走り回っていました。その際、傍らに自転車が置いてありました。しかし、その防大生は、訓練中に自転車に乗って良いと教えられていな為自転車には乗りませんでした。「正確」さはメモを取り、連絡事項を復唱する事で担保できます。しかし、「迅速」さは自転車が目の前にあるのにそれを利用せず、ひたすら走り回る事で達成出来るのでしょうか。これは、国の非常時に臨む可能性もある事を自覚しているはずの防大生でさえ、平時と非常時の思考の切り替えが難しいという事を示しています、とされておりました。まさに、平時に非常時を想定する事の難しさを表していると思います。

町田青年会議所では、2015年10月に町田市と「災害時における物資の供給及び輸送に関する協定」を締結し、災害発生時の物資の供給及び輸送について協力をするという事を決めております。この協定を更に深める為にも、平時から顔の見える関係を構築するべく、意見交換をしておく必要があります。平時に非常時を考える重要性、またその難しさを克服し非常時を想定した意見交換でなければなりません。情報共有という点では、市区町村の社会福祉協議会との関係も重要になります。社会福祉協議会が実施する災害支援体制の確認や、災害ボランティアセンターとの連携も平時から情報交換をしていなければ、非常時に効果的な対応は行えません。なお、町田青年会議所は、東京ブロ ック協議会に所属しているため、災害時には東京ブロック協議会との関係性も重要になります。

町田青年会議所だから出来る支援を目指して、地域関係諸団体と連携を深めていきます。

青少年教育について

我々は必ず人生の終わりを迎える事になります。しかし、考えや理念という精神的なものや文化的なものは後世に残す事が出来ます。

子供達にとって大人はどの様な存在でしょうか。生きる鑑、手本になる存在であると思います。青少年に対する教育については学者をはじめ多くの議論があり、どれが正解というものはありません。私は、教育を行う親が範を示す事が出来るかという気概が問われているのではないかと考えます。教育を行う大人自身は、自分自身を振り返り、胸を張って子供達に自分の言動を見せる事が出来るでしょうか。教育というのは、率先垂範であり、大人自身がしっかりとした言動をとらなければ、子供達に何も伝わらないのではないでしょうか。

町田青年会議所では過去から継続的に、相撲やサッカーなど武道やスポーツを通じて子供達への教育という観点で関わりを持っています。そこに参加する子供達の事を考える事も重要ですが、その前にまずは大人達が子供達に範を示す事が出来る気概を持って接しているか、その点を各々が問い直し、その中で武道やスポーツを通じて子供達に伝えるべきものを伝えていきます。

進みゆく情報化社会を見据えて

昨今の情報技術の進歩には目を見張るものがあり、我々が少年期を過ごした時代と著しい変化が生じており、デジタルネイティブという言葉も生まれています。

情報技術の更なる発展に伴い、今後ますます情報技術に依存して行く時代が到来するでしょう。また、人工知能(AI)の発達により、コンピューターが自分で意思を持つ可能性、人工知能が人類の知能を超える可能性、いわゆる2045年問題も現実味を帯びて来ています。この様な状況の中、教育の現場においては、2020年に小学校でのプログラミング教育が必修になる等、幅広い世代で情報技術に対する学習の機会が設けられる事になります。

我々は、デジタルネイティブ世代と言われる子供達に情報化社会における関わり方を教育して行く事になります。その際、非デジタルネイティブと言われる我々青年世代が、まずは昨今の情報技術の状況や人工知能の可能性といった事を知らなければなりません。今後益々変化の速度が早まる情報化社会に備える為の機会を提供していきます。

井の中の蛙になるな

「人は強烈な個性によって磨かれる。」私が日本青年会議所に出向したときに当時の会頭が述べられていた言葉です。自己成長を考えたとき、町田で一生懸命に活動する事はとても重要です。しかし、それと同時に、町田の地を出て、より個性的な者が集まる中に飛び込み、そこで大いに揉まれて自分を強くする事が出来ます。出向するとその様な機会を得る事が出来ます。また、出向先で多くの青年会議所の仲間との強い絆を作る事が出来、それが生涯の財産にもなるでしょう。

また、出向するのと同時に、町田青年会議所として他の地域で活躍する同志の活動を知る事も重要です。自分達に不足しているものは何か、他よりも優れているものは何かを知る為に、東京ブロック協議会をはじめ、関東地区協議会や日本青年会議所、JCIでの事業等に参加する機会を提供して行かなければなりません。そして、出向で得られた知識や経験を町田青年会議所に持ち帰り、町田青年会議所の発展に寄与して行かなければなりません。

我々は、出向者に対し顔の見える支援を行うと共に、他の地域での青年会議所の運動を知る機会を積極的に提供していきます。

共感が得られなければ意味が無い

どんなに素晴らしいと思ったものでも、それが周囲から共感を得られなければ無きに等しいものであります。町田青年会議所の運動についても同じ事が当てはまります。独り善がりの活動では誰からも相手にされず、自分達の運動が外に展開して行きません。

町田青年会議所は、地域の中で必要不可欠な存在となる為に地域の関係諸団体と連携を取り、それぞれの団体を尊重しつつもニーズをしっかりと把握し、町田青年会議所がリーダーシップを発揮し、市民の共感を得ながら地域の発展に寄与する運動の起点となる団体として存在する事を目指していきます。

結びに

私の心の中に常にある教えがあります。「守破離(しゅはり)」という教えと「人事を尽くして天命を待つ」という教えです。いずれも、私が、剣道という武道を通じて教えられたものです。

「守破離」という教えは、まずは師の教えを忠実に守り基本を体得する、これが「守」の状態です。その上で自分の個性を活かし自分自身のものを造り上げます。自我が芽生えてくる状態、それが「破」の状態です。そして、「破」の状態からさらに歩みを進め、自分の新たな境地を切り拓く状態、それが「離」の状態です。森羅万象突然に革新的なものが生まれる訳ではありません。そこには基本や基礎となるものが存在し、それを十分に踏まえて初めて新たなものが生み出されます。「型破り」は、「型」を知らずして型を破る事は出来ないのです。

一方、「人事を尽くして天命を待つ」とは、人間として出来る限りの事を実行し、そのうえは天命に任せて心を労さないというものです。ものごとに全力で取り組む事が重要です。結果は我々ではコントロール出来ないものです。自分自身がコントロール出来る事に最大限の努力をする事が重要です。

2017年度は、設立50周年を迎える町田青年会議所として、これまでの歴史を振り返り、守るべきものは守り、改めるべきは改め、新たな歴史を刻む年にしていきます。

限りある人生です。結果がどうなるかに気を取られてはなりません。一瞬一瞬を大切に、結果を生む為の準備に持てる力の全てを注ぎましょう。その経験が己の限界点を高め、己の成長に繋がり、ひいてはその経験が、町田が今以上に輝く地域になる事に繋がる事になります。

基本理念

社会の環境の変化を敏感に捉え、明るい豊かな社会を実現するために、己の限界点を高め、さらに、その気概を内外に示し、地域を巻き込む運動を起こす。

基本方針

  1. 守破離の精神で過去の歴史を学び、新たな町田JCの歴史を刻む。
  2. 会員だけではなく、市民の方々にも共感を生む活動を実践する。
  3. 地域との交流を促進し、町田市における町田青年会議所の存在意義を高める。

スローガン

故きを温ねて新しきを知る 呼び覚ませ!町田JCの魂を

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